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結婚した頃のこと [夫婦]

CSで「幻想魔伝 最遊記」の再放送を観ていたときのこと。

エンディングで「Tightrope」という曲が流れます。聞いた瞬間、反射的に「あ…なんかイヤ…」と思ってしまいました。好きな曲のはずでした。CDも持っています。自分自身、どうしてなのか、しばらくわかりませんでした。

そして、思い出したのです。「私が結婚した頃、ちょうど最遊記がオンエアされていたんだっけ…」


大阪に住んでいた旦那と、東京で育った私。環境が違えば、生活習慣も考え方も違うのは当たり前だった。

元彼のところへ遊びに行くようになった頃から料理をしていたし、母が更年期障害で年に一度くらい入院するようになってからは、家事の切り盛りは私が主にしていた。だから、家事全般については、それなりの自信もあった。が、関西の料理をほとんど食べたことがない私は、今の主人の口に合う料理をなかなか作れなかった。

東京は下町の生まれ。さらに福島で育った父と一緒に生活している私が作る料理は、どうしても濃い味付けになる。ものすごく薄い味付けにしたつもりでも、旦那は「濃い」「しょっぱい」「塩辛い」しか言わない。最後にはどう作ればいいのかわからなくなり、料理をやめてしまおうかとまで思い詰めた。

旦那が拾ってきたネコも悩みの種だった。とにかく大きな音が嫌いなうちのネコは、雷が鳴り出すと冷蔵庫の下へ隠れてしまう。下手に冷蔵庫を動かせば、逆にネコを下敷きにしてしまうと思った私は「お腹が空けば勝手に出てくるから放っておきなよ」と言うが、動物を飼ったことがない旦那にはそれがわからない。終いには「ネコが可愛そうだろう!」と怒り出す始末。あんまり腹が立った私はネコを引きずり出すと旦那に渡し、そのまま夕立の中、外に飛び出したこともあった。

にもかかわらず、旦那はもう1匹猫を拾ってきた。最初は先に拾った子と折り合いが悪く、毛を逆撫でて敵意むき出し。食事もろくに取らない。「早く仲良くなってよー」私は見守るばかりだった。3日の後、どうにか一緒に生活できるようになるまで、私もご飯が喉を通らなかった。

旦那はネコが好きだが、世話は嫌いという人だった。当然、ネコの世話は私の役目になる。2匹になってあたふたしている私を他所に、旦那はひとりで映画や買い物に出掛けて1日帰ってこない。「今日、あそこで食べたご飯、美味しかったよー」私の神経を逆撫でるかのような言葉ばかりを連発する旦那に、その都度イライラしてケンカばかりしていた。

旦那はテレビショッピングが大好きだ。結婚当初はお互いの家計を別々にしていたが、自己管理できない旦那は給与のほとんどをテレビショッピングに使い果たす。自営業を始めてからコツコツ積み立ててきた数百万円という私の貯金は、半年を待たずに使い果たした。それでも旦那の浪費癖は収まらず、支払いの算段が付きかねた私は、人目をはばからずに声を上げて泣いた。離婚を前提に何度もお義母さんと話し合った。

それでなくとも、身障者である旦那との生活は神経をすり減らす毎日だった。あともう一息という我慢が出来ない旦那は、移動のときでも衣服を汚すことがよくあった。おかげで私は沿線のトイレの場所をすべて覚えてしまった。

咀嚼力と飲み込む力が弱いので、普通に食べていても突然咳き込んで、ご飯を吐き戻してしまう。イカを喉に引っかけて食道炎になったり、海苔で窒息することもある。落ち着いて食事の出来ない日々が続き、つい旦那に辛く当たってしまうこともあった。


あの曲を聴いたとき、当時の生活が本当に大変だったことを私は思い出しました。

正直、旦那との生活が大変なのは、今でもほとんど変わりません。でも、その当時から不思議と苦痛ではありませんでした。そして旦那との生活で身に付いたいろいろなことは、父の看病でも役に立ってくれました。

もう一度エンディングの「Tightrope」を聞いたとき、当時を懐かしく思うようになっている自分が、そこにいました。


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norinori-tsubame

こんばんは。
好きな曲だけど、今改めて聞くとその曲がはやった当時のことを思い出して、
その曲が嫌になるという感覚、よくわかります。
私の場合は、Mr.childrenの「Tomorrow never knows」です。
発売された当時は、よくカラオケで気分を紛らわすときに歌っていました。
そのときは今までの人生の中でも二度と経験したくない状況でした。
たまにテレビで流れると、当時のことを思い出します。でも、kyaoさんと
同じように懐かしくも思ったりします。
今では、そのときがあるから今の自分があるんだと思っています。
by norinori-tsubame (2005-01-31 21:14) 

kyao

norinori-tsubameさん、こんにちは。わざわざ訪ねていただいてのレス、どうもありがとうございます。つかぬ事を伺いますが、私がときどきお邪魔するブログのnorinoriさんとは別の方でしょうか? 今日、ブログをお訪ねしようと思ったらなぜかURL不明になっていたもので。私の勘違いでしたら失礼しました。m(__)m

norinori-tsubameさんはミスチルの「Tomorrow never knows」に深い思い出がおありとか。偶然ですが、以前、思いっきり振られた人に誘われて、カラオケで最初に歌ったのが「Tomorrow never knows」でした。「懐かしの…」みたいな番組でテレビから流れたりすると、今でも胸のどこかが痛いです。歌って不思議ですね。そのときの自分の気持ちとか、その頃の思い出がまるで映画のように蘇ります。

>そのときがあるから今の自分があるんだと
まったく仰るとおりだと私も思います。
楽しい思い出ばかりを紡いで、人は生きていけません。失敗も失恋も、ときには身近な人の死さえ乗り越えなければならない障害として立ちはだかります。でも、そういうことを乗り越えてきたからこそ、今の自分があるのだと思います。
そして、だからこそ、同じ思いをした人に優しくなれたり出来るのだと思います。これは同情ではないですよね。(^^)
by kyao (2005-02-01 08:45) 

norinori

こんばんは、norinoriです。
上の「norinori-tsubame」の名前は私です(ブログのアドレス名が「norinori-tsubame」でしたので」)。以前にコメントしたところの名前がすべてそうなっていると思います。
なぜかわかりませんが、私のブログが2月1日0時40分頃より自分の管理画面にアクセスできなくなり、先ほどブログも消されていることに気づきました。
大変申し訳ありません。どうして消えているのか、私にもわかりません。So-netには、この現象についてのメールを送りました。ご迷惑をおかけしますm(_)m
by norinori (2005-02-02 00:18) 

kyao

noriniriさん、こんにちは。レスをありがとうございます。
やっぱりnorinoriさんご自身でしたか。なぜかnorinoriさんのブログに行こうとすると「見つからない」と表示されてしまうので、どうなされているか、心配していました。とりあえず、お話が伺えて安心しました。
それにしても、ご自分のブログも消えているとは…いつも楽しいお話を拝聴していたのに…。万が一にも、so-netのトラブルであった場合、とんでもない話です。発生頻度の多い・少ないにかかわらず、こんな現象が発生しているようなら、その原因究明を含め、きちんとnorinoriさんに対する謝罪がなければなりません。
個人的に、ブログの復活も含め、norinoriさんには早く復帰していただきたく、お願いします。また、楽しいお話をたくさん聞かせていただけるのを楽しみにしていますね。またいらしてくださるのを楽しみにしております。
norinoriさん、ガンバです!!
by kyao (2005-02-02 08:57) 

チカリ~ナ

こんにちは kyaoさん(*^-^*)
いきなりこんな所にコメントを書いてごめんなさいね。
peace_macさんがブログを開設したとの連絡を受け、見ていくうちに
他の方々のブログを見てまわっていくようになりました。 そんな時、
kyaoさんのブログを拝見し とてもウイットのある会話で 天体の事やアインシュタインの理論にも触れられていることに感嘆と共感を感じました。
どんな人なのかな と ちょっとkyaoさんの過去のブログ記事をたどり、
読ませて頂きました。

kyaoさんは 様々な思いをしてこられた方なんだなぁと
襟を正さずにはおれない気持ちになりました。
体の自由が利かないご主人との生活。
障害者ということで ご主人は周りから甘やかされて育ったのでしょうか。
それともご主人の性格なのか、ブログからは推し量ることができないほどに、
心労・苦労をkyaoさんはされてきたのだと感じます。
ご主人を通して 自分の心の叫びと対峙しながら、様々なことを
学んでこられたのだろうなぁ、人生を深く歩いて来られた人なのだなぁと。
kyaoさんの忍耐強さとともに 愛情の深さが この胸に
しんしんと響いてくるようでした。

ある本にこんな言葉が書いてありました。
「『どんな時でも楽しめる。苦しいことでも楽しめる』……何があろうと乗り越えていける、
その勇気を鍛えるために、『人生を楽しむコツ』を学ぶために、人は生まれてきたのかもしれない」

>布団の上に正座して、旦那に「お世話になりました」「今年もよろしく」と挨拶
なんて素敵な光景なんでしょう!
kyaoさんの人となりが伝わってくるようです。
様々な思いをしてきたからこそ、人への思いやりの心も生まれてくるのでしょうね。
私も私なりに 様々な思いを胸に今日まで歩いてきました。
自分一人の力で到底ここまでは来られなかったと感じます。
……そんなこんなに想いを巡らせながら、読ませて頂きました。
まだまだ私の自己紹介等とかも書きたい事があるけれど・・・
あらら、長くなってしまってごめんなさいね(*^-^*)
by チカリ~ナ (2005-03-07 16:56) 

kyao

チカリーナさん、こんにちはー。レスをどうもありがとうございます。(^^)
それにしても…チカリーナさんってば、これって褒めすぎ。照れます、マジで。私ってばチカリーナさんが仰ってるような偉い人ぢゃないし。今や、旦那をチクチク虐めることが唯一の楽しみになりつつあるし。(^^;
>障害者ということで ご主人は周りから甘やかされて育ったのでしょうか。
>(中略)
>されてきたのだと感じます。
いえいえ。そんな大層なことはないんですよ。マジで(笑)。
苦労は確かにしてきましたが、苦痛ではありませんでした(苦痛だとしたら、多分、5年は保たなかったと思う)。とはいえ、ときどきイラッとして、しようもないことで旦那に当たってしまい、自己嫌悪になったりということは今でもあるかな(笑)。そういうことは旦那もあるみたいだから、この辺もお互い様だし。(^^ゞ
たしかに旦那は今まで甘やかされてきた部分はあると思いますよ。自分でもそれはわかってるみたい(直そうともしてるようだけど、私からみたら成果ゼロですな)。だから逆にお義母さんが私に気を使ってくださってるようで、恐縮してます。(^^;
>『どんな時でも楽しめる。苦しいことでも楽しめる』
良い言葉を教えていただきました。どうもありがとう!(^^)
私はどんなことでも楽しめると言えるほど、まだ人間が出来ていませんが、いつかはそうなりたいなあ。(^^)
それに、介護とかって、結局は誰もみな通る道のような気がするんです。私は自分の親の介護をするより一足先に、旦那に教えて貰ったと思ってます(笑)。
ただ、昔、聖書だかの言葉で「その苦労が背負えるほど強い人だから、神はその人に苦難を授けた」みたいなことを聞いた覚えがあります。当時はそれを聞いて感動したのですが、今、それを自分や旦那に置き換えたら嘘だなあと思いますね(笑)。
それに介護って悪いことばかりじゃないですよ。
実家へ帰って父と通院していた頃、軽いとは言え大の大人ひとり支えて歩くでしょ? しっかりバストアップしてました(爆)。(^^ゞ
>なんて素敵な光景なんでしょう!
うーん、そうかなー(照)。1年のけじめだからと、独身の頃は実家の親にも同じことしてましたし。(^^ゞ
>私の自己紹介
ヲヲ、それはぜひ伺いたいです!(^^)
peace_macさんのブログでチカリーナさんのことはときどき伺ってますが、「モデル並みの容姿」とか「背が高い」とか、そんな断片的な情報ばかりなので、とっても気になります。(^^)
今度、ぜひぜひ伺わせてくださいね。お待ちしてます!(^^)
by kyao (2005-03-07 20:25) 

チカリ~ナ

すみません、こんなに前の記事にコメントしてしまって・・。
早速と気が付いていただいいて・・って 『最近のコメント』という欄で
気が付くようになってるンですってね(・_*)
パソコン初心者は 恥をかくのは覚悟していますが(=´`=)

でもkyaoさんは 誉めすぎでもなんでもなく、すごいですよ!
私自身が経験していないことをしてこられてるんですもの。
尊敬に値しますよ!

もう一つ言葉 いいですか?
 「それぞれの社会も人生も、それぞれの『心』が描いた絵画である。
  他のだれが描いたのでもない。だれのせいでもない……どんな
   素晴らしい絵を描けるのか、『我が心』ひとつで決まるのだ」

なんか偉そうにすみません。
普段、新聞や本やテレビや人との会話の中で
いいなぁと思った言葉や箴言などをメモに取ってるんです。
その言葉を借りてるだけですが・・
なんかkyaoさんの姿から この言葉を思い出しました。
余りパソコンに向かえないので、お返事もままならないかと
感じますが プロフィールも後日カキコさせて頂きますので・・(*^^*)
しかしkyaoさん 師匠peace_macさんのコメントを
よく読まれてるのですね(☆o☆) 他の人へのコメントは
読んでないだろうと思っていた私が甘かった・・( ´□`)
しかし私は モデル波の容姿とかいう形容は無視して頂いて、
ただ単なる『ノッポ』なオバサンです┌|∵|┘
kyaoさんの正座して『今年もよろしく』…は見習わさせていただきます!
だって本当に美しい姿だもん(*⌒∇⌒*)!
by チカリ~ナ (2005-03-08 10:14) 

kyao

チカリーナさん、こんにちはー。いつもレスをありがとうございます。(^^)
>恥をかくのは
いえいえ。そんな風に仰らないでください。んなこと言い出したら、私なんてどれだけ知らないことが多いか…。(^^;
結局のところ、どれだけパソコンに接しているかではないんですよね。使ったことのない機能はいつまで経っても知らないままだし(笑)。
>私自身が経験していないことをしてこられてるんですもの。
いえいえ、そんなことないですよー、マジで。(^^ゞ
peace_macさんのスレッドなど拝見していると、人間は生きてきた時間ではなく、どれだけ密度のある時間を過ごしてきたかに寄りますよね。もう、私などは毎日のほほんと暮らしているだけですから。(^^;
>もう一つ言葉 いいですか?
なるほどー。チカリーナさんはこういう「心に大切な言葉」を残していらっしゃるのですね。とっても素敵ですし、大切なことだと思います。いつもありがとうございます。(^^)
先にチカリーナさんが教えてくださった言葉と大局的には同じ意味ですよね。端からはどれだけ大変に見えても、本人が自分に納得していれば、それは素敵な生き方であるという意味だと思います。(^^)
逆に言えば、いつでも自分が納得出来る生き方をしよう、と言うことですよね。人生の節目で決断しなければならないのは、いつでも自分でしかないから、そのときそのときに後悔のない判断をしようと言うことではないでしょうか。(^^)
>プロフィールも後日カキコさせて頂きますので
はい。いつでもお待ちしていますので、気が向いたらお越しくださいね。(^^)v
>見習わさせていただきます!
あはは。そんなこと言わないでくださいね。照れます、マジで。(^^ゞ
単純に私は私がしたいことをしているだけですので。(^^)
by kyao (2005-03-08 15:10) 

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