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堅気(かたぎ)でない人たち、のこと [日常]

堅気でない商売と言えば、私の仕事も十分それに相当すると思うのですが…。(-_-;

私が生まれ育ったのは、東京は足立区の千住と言うところ。頭に「ど」が付くほどの下町です。
お祭りや盆暮れ正月には、かならず露店・夜店といった、少し怪しげなお店が軒を連ねます。そうしたお店を管理・運営している(?)のが、いわゆる「堅気でない人たち」です。(^^;

お祭りになると、どこからともなくやってくるこうした人たちが、小さい頃から周りにたくさんいたため、私にはあまり怖い人には思えませんでした。

銭湯に行くとき、私は4歳くらいまで父と一緒でした。
男湯に行くと、そこには決まってきれいなお姉さんや龍、お魚が背中で泳いでいるお兄さんがたくさんいて、よく遊んでもらっていました。
ある日、私がボーッと眺めていると、
「お嬢ちゃん、どうしたの?」
「お魚、きれいだなーって」
「そうかそうか。お嬢ちゃんが大きくなったら、お嬢ちゃんの背中にもお魚、出てくるかも知れないよ」
「ホント?!」
「ほんと、ほんと」
こんなお話をしているとき、父は決まってハラハラしていました(笑)。

祖母から聞いたところでは、私の祖父は大変気前のいい人だったようです。
給料日になると、いただいたお給料を全部持って飲み屋さんに出掛けた挙げ句、そこにいた人たちに大盤振る舞いしてしまうことがたびたびあったようで、祖母はずいぶん泣かされたそうです(そうでなくとも、祖父は大変おしゃれな人でした。高価な革ジャンや時計などをなりふり構わず買ってきてしまうことも良くあったようです。今、祖父の形見である腕時計は父に、革ジャンは私のところに来ています)。
そのため、祖父は「堅気でない人たち」の間でもずいぶん有名な人だったらしく、組に若い衆(笑)が入ってくると、わざわざ私の家まで訪ねてきて「よろしゅうお願いします」とご挨拶に来ていました。(^^;
そんなとき、父はいつもハラハラしていました(笑)。

小さい頃、私は父に連れられて、よくパチンコ屋さんに行っていました。(^^ゞ
私にとって、パチンコ台は普通のおもちゃと何ら変わるものではありませんでした。玉を父にもらってチャラチャラ打って。ときどき大当たりするのが楽しかったのを覚えています。
そう言うお店には、大抵「堅気でない人たち」もいらしてます(笑)。大当たりしている私を見て
「お嬢ちゃん、景気良いなあ」「良い子だから、少し玉、分けてくれないかなあ」
「だめ! お父さんにあげるの!」
というとそう言う人たちは
「お嬢ちゃん、良い子だなあ」
と、決まって大声で笑い、私の頭を撫でてくれました。
父はそんな様子を見て、ハラハラしていたようです(笑)。

「火事と喧嘩は江戸の華」だそうです。
いくつもの小さな「XX組」があったため、近所で喧嘩が起きることは日常茶飯事でした。
夏の暑い日は玄関を開け放して、障子だけで過ごすことも多かった我が家ですが、突然、その障子を突き破って、血だらけの腕が飛び出してくることもありました。そんなものを見慣れてしまった私は、巷の怪談くらいでは驚かなくなっていました(笑)。
こんなとき、父はやはりハラハラしていました(笑)。

たしかお祭りのときだったと思います。
不躾にも私は、そのころ顔見知りだった「堅気でない人」に、「おじさんは悪い人なの?」と聞いてしまったことがあります。
するとおじさんは笑って
「そうだなあ…悪い人だなあ」
「でも、おじさん、やさしいよ」
私がそう言うと、そのおじさんはやはり笑って
「お嬢ちゃん、よく聞きな。おじさんたちやくざは、堅気の人には手を出さねえんだ。堅気の人に迷惑を掛ける奴らは、ただのちんぴらだ」
このとき、私の中には「やくざ=良い人」「ちんぴら=悪い人」という図式が出来上がりました(笑)。

いつの間にか、近所から「XX組」という名前はなくなり、背中に彫り物をしていたおじさんもいなくなりました。今では懐かしい思い出です。
つい先日まで放送されていた「ごくせん」を観て、ふと、そんなことを思い出しました。


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peace_mac

おはようございます(^.^)
背中にお絵かきした人達、私も子供の頃銭湯でよく見かけましたね。子供心に不思議でじっと見つめていた事を思い出します。
今ではサウナ(温泉)刺青 入浴不可。
の図式が成り立っていますが昔の街の銭湯は関係無しでしたからね(^◇^;)

そうそう私が今勤めてるクリニックの近くにも組があってそこの組員さんと居酒屋の顔見知りなんですがこんな話を聞きました。そこの組長さんはどこから見ても普通のサラリーマン、妻子持ちで幼稚園に通う子供がいるらしいのですが結婚当初、嫁さんの実家の親にもやくざであることは内緒で結婚したらしいのです。(^◇^;)
当初、嫁さんの実家でお風呂を勧められる度に
「風邪気味で・・・」
と入浴を拒みました。そう!背中に大きなお絵かきがあるからです。(__;)子供が生まれて4歳ぐらいの時に、もの心付いた子供と初めてお風呂に入ったらしい(ずっと拒んでいたけど我慢できなくて)背中の大きなお絵かきを見て子供は感動?(^◇^;)?
組長は我が子とお風呂に入れた喜びで一杯でした。
ある日、奥さんが子供の通う幼稚園の先生から
「○○ちゃんが○○のパパの
     背中には大きなお花が咲いてるの!!」
と友達に自慢していたらしい・・・それで友達から
「背中にお花なんて・・・見たい!!」と騒ぎ出して今クラスでその話題で持ちきりなんです。(¨;)
と・・・・お母さんも苦笑(__;)、先生も苦笑(^◇^;)
子供にとって背中のお絵かきほど不思議なものはないんですね(^◇^;) あっ!今でも奥さんの実家では内緒みたいですけどね。
でも子供の口からばれてると思うけど。。。。。(^◇^;)
by peace_mac (2005-04-11 11:13) 

kyao

peace_macさん、こんにちはー。レスとnice!をどうもありがとうございます。(^^)
最近、いろいろな話が次々出るので、どれにしようかなあと迷いましたが、とりあえず、「堅気ではない人」のお話をさせていただきました。(^^;
>サウナ(温泉)刺青 入浴不可
たしかに。昔はそんな話、なかったですね。「素人は賭場を荒らさない」「組のものは素人さんに迷惑を掛けない」みたいな紳士協定(?)というか暗黙のルールがありましたから、良くも悪くも共存共栄出来ていたように思います。だから普段の生活ではまったく関係なくお付き合い出来ていたのではないでしょうか。最近は麻薬でも賭博でも、じゃんじゃん素人さんを巻き込みますからねえ…義理も人情もあったもんじゃありません。(^^;
背中の「きれいなお花」のお話、微笑ましく拝見しました(笑)。実際、こういう事で悩んでいる人って多いんでしょうね。小さい入れ墨ならレーザーで消せますが、背中一面となるとそうはいきませんし。
そう言えば以前、TVで組を抜けたお父さんのお話を見たことがあります。
今では立派に更生し、普通にお仕事されているその人も、かつて不祥事を起こした際に小指を詰めたことがあったと言います。
ですが、娘さんの結婚の際、小指のない父親として出席するわけにはいかないと思い、必死で外科の先生に頼み込んで、足の指を切り離し、手の小指につないでもらいました。それを聞いた娘さんは号泣したそうです。父の愛は偉大ですねー。それをなさしめた娘さんの思いもすごいと思いました。
by kyao (2005-04-11 14:03) 

アキオ

記事もコメントも、ないす。
by アキオ (2005-04-11 19:01) 

kyao

アキオさん、こんにちはー。わざわざnice!を置きに来てくださったのですか? どうもありがとうです。
今度はアキオさんに楽しんで頂ける記事が書けるとよいなあ…。反省。
by kyao (2005-04-11 20:37) 

kaz

基本的には大嫌いですが、良い人もいますね。
でも、最近は何でもありなのも事実。数々のエピソードで笑ってしまったのも事実。
by kaz (2005-04-11 23:01) 

suzune-k

こんにちわ
 最近はこういう付き合いも少なくなりました。
 ここは三陸の漁師さんも多くきますが、カラクリモンモン多いですねえ。
 あわびも良く盗れるので????
 でも皆さんケロリとして、何キロ盗ったなんて話しています。
 ここは一体?????
by suzune-k (2005-04-12 06:32) 

kyao

kazさんへ
こんにちは。いくつもレスとnice!をどうもありがとうです。
>基本的には大嫌い
私もその辺は一緒です。少なくとも最近の「組」の人たちは好きになれないかも。ただ、記事にも書きましたが、こういう人たちは単に排他的なだけなのかなとも思うのです。どこまで心を許して良いのかは問題ではありますが…。

すず音さんへ
こんにちはー。レス&nice!をどうもありがとうです。
>何キロ盗ったなんて話しています
うーみゅ…困ったものですねえ…。(^^;
今、大阪市役所をはじめとする公共機関の悪徳役人の所行が問題となっていますが、こういう人たち含め、ひとりで悪事を働けない人たちばかり何じゃないかと思うのです。つまりは根性なしな人たちだから、みんなでいるからこそ、悪事を働き「何キロ盗った」なんて軽口も叩けるのではないかと。1台駐車違反している車があると、その周りに駐車違反の車が増えてしまったり、ひとつ落書きがあると、どんどん増殖してしまうという心理に似ているような気がします。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という心理ではないでしょうか。
by kyao (2005-04-12 08:57) 

りんたろ

人は見かけによらないですよね。でも、こういうお話聞いても、やっぱりコワイかな!最近、別の意味で見かけによらない人がいるので要注意です。
by りんたろ (2005-04-12 20:08) 

kyao

りんたろさん、こんにちはー。レス&nice!をどうもありがとうございます。来てくださって、嬉しいです。(^^)
>見かけによらない人
うーん、たしかに。危ない事件、最近、起きすぎです。そう言う意味では、見るからに危険な人の方が安心かも(近くに行かなきゃ良いだけだし)。(-_-;
特に春先は馬鹿な酔っぱらいとか痴漢とかも増えますから、お互いに気をつけましょうね。(^^;
by kyao (2005-04-12 20:12) 

norinori

こんばんは。さぞやkyaoさんのお父様、kyaoさんが「やくざ」と会話をしていると、どきどきハラハラしていたんですね。「ハラハラ」感が伝わってきました。私の場合、「背中の魚」にはとてもおびえるので(小心者)、お父様の「ハラハラ」がわかるような気がします。
基本的にはそういった方々は私もダメです。以前のような義理と人情を重んじるようなものがあったのならまだしも、バブルの頃からの物を巻き上げていくような人たちは大嫌いです。
りんたろさん、kyaoさんのおっしゃる通り、見るからに危ない人よりもじわじわとくるような怖さの方が余程怖いです(ストーカーなんか、あてはまると思います)。でも、そういった危険を避けるべく、防犯カメラをつけるのもどうかと思いますが。我が京都の四条通では、一気に今月から82台の防犯カメラをつけました。なんか監視されているようで嫌ですね。
by norinori (2005-04-13 00:39) 

kyao

norinoriさん、こんにちはー。レス&nice!をどうもありがとうです。(^^)
>どきどきハラハラしていたんですね
あはは。どうもそうだったらしいです(笑)。私の場合、「盲ヘビに怖じず」で、そういう怖い人だと知らなかっただけで、父は何かあったらと、日頃から心配していたようですよ。(^^)
>物を巻き上げていくような人たち
まったくです(怒)。
たとえば昔から「所場代」みたいなものはあったようなんですよ。ただ、それはお店でご商売されている人が変なお客さんに絡まれたりしたときに助けてもらったお礼に、1杯ご馳走するとか、そういう類のものだったようですよ。
それがいつの間にか「用心棒代」のようになってしまい、弱いものを虐めてお金をせしめるようになってしまいましたからね。
特にバブルの頃から、することが組織的・頭脳的になってきましたよね。組事務所には専属の弁護士までいるという始末です。ピストルを使って何の関係もない人たちを巻き添えにしたり、女子高生に麻薬やシンナーを売ったりしてまでお金を儲けようとしている今の「堅気でない人たち」には、何の恩義も感じません。(-_-;
>ストーカー
あー…たしかに。私も数回、そういうことに巻き込まれたことがありますが、本当、始末が悪いですよ。つけ回された挙げ句、自宅の電話番号まで知っていましたから。私だけでなく、家族にまで何をされるかと思うと夜も寝られなかったです。(-_-;
>監視カメラ
たしかにねー。あまり感心しません。高速道路のNシステムとかも一緒ですが、単純に住民の死角になる部分だけを監視するためだけに使われていればいいのですが、喫茶店などのお店の中まで覗かれていないかなあとか思うと、逆にストーカーみたいで怖いものがありますね。以前、(海外の)空港のガードマンが監視カメラを悪用して、女子更衣室を覗き見していたという事件もありましたし。監視カメラのようなものを使わないと、自分のみの安全も図れないような世の中もイヤですし。何を信じて良いのか、本当に分からないです。(-_-;
by kyao (2005-04-13 09:14) 

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